เข้าสู่ระบบ和也は今も本部に留まり、洋二の後ろ盾を得て藤原家の次期当主の座に就こうと目論んでいる。だが、もし洋二に知られでもしたら……「裕也……ずっと私のことを裏で嗅ぎ回っていたのね?」雪枝は自身の怪我も顧みず激しく身悶えする。その顔には底知れぬ憎悪が浮かび、ひどく凄惨な形相をしている。狂乱すればするほど、裕也の冷淡さが際立つ。その瞳に宿る凍てつくような冷気に、雪枝は思わず息を呑む。「母さんは、最愛の息子の和也を守るか、それとも愛する男である小針を守るか、せいぜい悩むことだな」「やめなさい!裕也、あの子たちには指一本触れさせないわよ!」雪枝は恐怖に顔を引きつらせ、彼らに危害が及ぶことを心底恐れているのがありありと見て取れる。裕也は心の中で冷笑する。なんて偉大な愛だ。母親の愛情なんてものを、自分は一度たりとも目にしたことがない。だが、もう必要ない。「残りの人生は、刑務所の中からとくと見物するんだな。母さんが和也のために企てたすべてが、水泡に帰す様を」「いや、いやよ!」背を向けて出て行こうとする彼を見て、雪枝は慌てて叫ぶ。「裕也、私はあなたのお母さんなのよ!お願いだから、お母さんのために、あの子を狙うのだけはやめてちょうだい!」裕也の背中がピタリと止まり、その瞳の奥に浮かぶ嘲りの色がさらに濃くなる。「お母さん?藤原雪枝さん、俺にお母さんなどいませんよ」裕也は病室のドアを押し開け、大股で立ち去る。ベッドの上で苦痛に満ちた叫び声を上げる雪枝を置き去りにして。「裕也!そんなこと許さないわよ!認めなくても、私はお母さんなのよ、裕也!」裕也は病室を出る。ドアが閉まり、雪枝の張り裂けるような絶叫が遮断される。絵里はずっと病室の外、廊下の少し離れた場所で彼を待っていた。先ほどドアが開いた瞬間、雪枝の叫び声が漏れ聞こえていた。絵里は小走りで裕也の前に駆け寄り、心配そうな顔を向ける。「何を言われたの?大丈夫?」裕也は胸の奥の痛みを押し殺し、彼女を見つめる。陰鬱だった瞳に、瞬く間に優しい光が戻る。彼はふいに身をかがめて絵里を抱き寄せ、その耳元で低く囁く。「お前がいれば、俺は大丈夫だ」彼女を抱きしめた瞬間、裕也は心の中にぽっかりと空いていた穴が急速に埋まっていくのを感じ、口元に満ち足りた笑みを
裕也はベッドの傍らに立ち尽くしている。すらりとした長身からは冷気が漂い、その冷ややかな瞳は、まるで赤の他人を見るかのように彼女を見下ろしている。「絵里は俺を愛していなくても、俺にはまだ情をかけてくれた。だが、母さんはどうだ?」雪枝は顔を歪め、金切り声を上げる。「私はあんたの母親よ!これまでの年月、私が与えてきたものではまだ足りないと言うの!あんたはもう堂々たる藤原グループの跡取りで、あの巨大なグループの全権を握っているのよ。これ以上、何の不満があるって言うの!それなのに、私たちはこれほど多くのものを与えたというのに、たかが一人の女のために、自分の両親にこんな仕打ちをするなんて!」雪枝は喉を枯らして叫び続け、両目は血走っている。顎のあたりには一筋の傷跡がある。それは彼女が裕也を盾にして銃弾を凌いだ際、飛び散った破片で切ったものだ。あの時はただ一刻も早く逃げ出し、警察の追跡を振り切ることしか頭になかった。裕也は息子なのだから、母親である自分のために弾除けになるのは当然のことだ。裕也の目には深い陰りが浮かび、胸の奥に渦巻く痛みを必死に押し殺している。目の前の女からこのような扱いを受けることには、とうに慣れきっているかのようだ。だが、もう何も感じないはずだった胸の奥が、それでもなお微かに疼いている。彼の瞳が微かに揺れ、低い声が漏れる。「分かっているさ。母さんは俺に和也のための地ならしをさせ、自分の手駒として使いたかった。だが、俺が母さんの制御を超えたからこそ、絵里を殺してでも水原グループを手に入れ、和也の力にしようとしたんだろう。そして俺のことは、和也のための計画の邪魔になれば、最終的には切り捨てるつもりだった。今日、弾除けとして俺を引っ張り出したのも、そのためだろう」そう語る裕也の声は淡々としており、いかなる感情も読み取れなかったが、その顔には氷のような冷酷さが張り付いている。「俺の言った通りだろう?」雪枝は数秒間呆然とし、言葉を絞り出す。「全部知っていたの?」裕也の眼差しは冷え切っている。両脇に垂らした手を固く握り締め、何も答えない。これだけの年月が経てば、嫌でも気づく。「あんたは私の息子で、和也の兄なのよ。今持っているものはすべて私たちが与えたものじゃない。それくらいして当然でしょう」
やがて絵里は救急車の後部ドアまで駆けつけ、車内で看護師の手当てを受けたばかりの裕也の姿を認めるなり、こらえきれずに再び涙をぽろぽろとこぼす。「裕也、生きてた……もう、本当に心臓が止まるかと思った」絵里はむせび泣きながら言う。その声は涙に濡れて弱々しく、安堵と、それ以上の激しい感情に震えている。ステップに足をかけて車内に乗り込むと、裕也にすがりつくように抱きつく。「爆発に巻き込まれたんじゃないかって、どんなに怖かったか……本当に、本当に死ぬかと思ったんだから」あまりの恐怖から解放され、絵里は張り詰めていた気持ちが一気に緩んだ反動で、嬉しさのあまり言葉も支離滅裂になっていた。抱きつかれた拍子に傷口が擦れ、裕也は眉を寄せるが、痛みを堪えて一言も発さず、ただその瞳には溢れんばかりの優しさを浮かべている。「悪かった。すぐに連絡できなくて。ほら、もう泣くな。これ以上泣いたら目が腫れるぞ」それでも絵里の涙は止まらず、向かい側に座っている健の存在など完全に視界から消え去っている。腕を負傷し、手首に白い包帯を巻いていた健は、その甘い空気を察して、邪魔をしないようそそくさと車を降りる。車外に立っていた丈裕が、健の包帯に視線を落とす。「大丈夫か?」健は首を横に振る。「お気遣いなく。大したことはありません」何より幸いだったのは、奴らを取り逃がさなかったことだ。今回、警察の包囲網は完璧と言っていいほど厳重だったが、相手は傭兵であり、経験も戦闘能力も桁外れだった。一歩間違えれば、こちらがやられていたかもしれない。特に社長は……健は当時の状況を思い返す。あろうことか、雪枝様が社長を盾にして銃弾を防ごうとしたあの光景が脳裏に蘇り、今でも胸が締め付けられる思いだった。痛ましい面持ちで車内の社長を一瞥する。あんなにも平然とした顔の裏で、どれほど心を痛めているのか、想像すらしたくなかった……「目が腫れてブサイクになっても、あなたのせいだからね。言っておくけど、私を置いていなくなるなんて絶対に許さないんだから」絵里はひとしきり泣いて感情を吐き出すと、ようやく落ち着きを取り戻し、彼の怪我の具合を気にかけ始める。裕也は負傷してすでに包帯が巻かれた腕を彼女に見せる。顔には煤がこびりつき、着ている白いシャツもあちこちが黒く汚れ
「裕也、どこにいるの……」絵里は黒煙が立ち込める場所へと歩み寄り、そのスーツのジャケットを拾い上げる。だが次の瞬間、警察官に腕を引かれる。「そこのあなた、下がってください。ここは事件現場です。証拠保全のため、関係者以外の立ち入りは禁じられています」絵里は逆にその警察官の腕を掴み、目を真っ赤にして涙を浮かべながら必死に問い詰める。「爆発で死んだのは、誰ですか!?」「身元はまだ不明です。遺体の組織をDNA鑑定に回し、確認する必要があります」「じゃあ、怪我人は?怪我人は男ですか、女ですか?名前くらいわかるでしょう?」絵里の声は震え、涙がとめどなくこぼれ落ちる。心臓が早鐘を打つように激しく脈打ち、なかなか落ち着く気配がない。「怪我人は複数います。男が二人、女が一人です。さあ、早く出てください。公務の邪魔になります」絵里は喉を詰まらせ、頭の中がガンガンと鳴り響く。男二人、女一人?無意識に裕也と健のことを思い浮かべる。そうでなければ、二人のスマホが繋がらない理由が説明できない。だが、その可能性を考えただけで、気が狂いそうだった。まるで深い海の底に沈んでいくように、息が苦しい。頭の中では、裕也と過ごした日々の記憶が走馬灯のように蘇っている……――裕也が十八歳の頃、いつも私に反発し、私のことを嫌っているようで、意地悪ばかりしてきた。言葉にはいつも棘があり、本当に嫌な奴だった。あの頃の私は彼が嫌いで、世界にこんなにも腹立たしい人間がいるのかと思うほどだった。その後、裕也は海外へ行き、丸三年顔を合わせることはなかった。これで私を苛立たせる人間はいなくなったと思っていた。しかし三年後、和也と入籍する約束をすっぽかされた日、裕也は突然帰国し、あろうことか私に結婚を申し込んできたのだ。意地になって承諾したものの、また彼にいじめられるのだろうと思っていた。だが予想に反して、彼はひどく優しかった。私が自信を失い、何事も自己否定するようになっていると知ると、彼は根気よく導き、励まし、私が何をしようとも黙ってそばで支えてくれた……この半年余りの出来事を振り返り、絵里はようやく気づく。彼が自分のために、どれほど多くのことをしてくれていたのかを。それなのに、様々な事情が重なり、二人は新婚夫婦として甘い時間を過ごす
絵里はバッグからカードを取り出し、梨乃の手のひらに押し付ける。「もうすぐ誕生日でしょ。好きなものを買って。私のカードを使っていいから。暗証番号はあなたの誕生日よ」車のドアを開けようとした梨乃の手が止まる。彼女は振り返り、絵里を強く抱きしめる。鼻の奥がツンと痛む。「やっぱり絵里が一番好き。安心して、絶対に遠慮なんかしないから」「それがいいわ。言ったからにはちゃんと実行してよね」絵里は微笑み、彼女の背中を軽く叩く。「じゃあ、もう行くね」梨乃は体を離すと、再びドアを開けて車を降り、ビルの中へと歩いていく。丈裕は、彼女のしなやかで美しい後ろ姿を見送りながら、目にかすかな光を宿した。ちょうどその時、着信が入る。通話を終えた丈裕の顔色が、突如として険しくなる。「絵里様、大変です」裕也に電話をかけようとしていた絵里は、丈裕の言葉に思わず動きを止め、スマホを強く握りしめる。「どうしたの?」丈裕はためらいがちに口を開く。「昼頃、港で激しい銃撃戦があったようです。傭兵たちが雪枝を連れて逃亡を図り、警察に阻止されたとのことですが……そこに、藤原社長もいらっしゃったようで。現場で爆発が起き、死傷者が出ているそうです」絵里はあまりの衝撃に、その場で凍りつき、頭が真っ白になる。しばらくしてようやく我に返ると、慌てて裕也に電話をかける。だが、電源が切られており、つながらない。健にもかけてみたが、同じくつながらなかった。一瞬にして、絵里の心はどん底へと突き落とされ、得体の知れない巨大な恐怖が彼女を包み込む。まつ毛を震わせ、無理やり感情を押し殺して言う。「すぐに港へ向かって」必死に抑え込もうとしても、声はひどく震えている。潤んだ赤い瞳には、心の底からの激しい恐怖が滲み出ている。「かしこまりました。すぐに出ます。どうかご心配なさらず」丈裕はアクセルを踏み込み、猛スピードで港の沿岸へと向かう。道中、車は狂ったようなスピードで走り続ける。本来なら一時間以上かかる道のりを、彼は強引に四十分余りに縮めて到着する。道中、絵里の心臓は早鐘のように打ち続けている。何度も裕也に電話をかけ直すが、依然として電源は切られたままだ。恐怖は刻一刻と増し、全身の震えが止まらない。いくら自制しようとしても、最悪の結末を
二人は絵里の存在に気づいていない。章の穏やかな顔に、ようやくわずかな変化が表れ、眉をひそめる。「そうやって突っかかるのが楽しいのか」梨乃は呆れたように笑い飛ばす。「じゃあ何て言えばいいの?その補償とやらを受け取れって?」先ほどまでレストランで食事をしていたのも、昨夜の出来事について話し合うため、章が無理やり彼女を連れ出したからだ。昨夜何があったのか、梨乃自身もよく覚えていない。目を覚ました時、二人は一糸まとわぬ姿で同じベッドに横たわっていた。今もまだ頭がぼんやりしていて、とにかく家に帰って眠りたかった。しかし、章は五千万円という大金を差し出し、補償だと言い放ったのだ。大人同士の一夜の火遊びよ。どちらが損をしたという話でもないし、章にそこまで気を遣われる筋合いはないわ。確かに彼に気はあるが、この状況につけ込むつもりはないし、当然、あの五千万円の小切手を受け取るつもりもなかった。「ただの火遊びでしょ。私が付きまとうとでも思ってるの?安心して、そんなことしないから」一刻も早く帰って眠りたかった梨乃は、踵を返した直後、少し離れた場所に立つ絵里と丈裕の姿を目にして、その場に立ち尽くす。今の会話、全部聞かれた?絵里は落ち着いた眼差しで、堂々と二人を見つめている。彼女の斜め後ろに控える丈裕は梨乃に視線を向け、その瞳に一瞬だけ落胆の色を滲ませる。梨乃は一瞬気まずそうな顔をするが、足早に絵里の前まで歩み寄る。「ちょうどよかった、早くここから連れ出して」絵里の腕に抱きつき、章に反応する隙すら与えず、強引に引っ張って歩き出す。車に乗り込むなり、梨乃は丈裕を急かす。「早く出して」丈裕は無言のままアクセルを踏み込み、その場を後にする。遠ざかる車を見送りながら、章は眉をひそめ、隆に電話をかけて会う約束を取り付ける。車内では、梨乃が絵里にぴったりと寄り添っている。頭の中は混乱しており、絵里に問い詰められるのではないかと気が気でない。「何も聞かないで。私にもどう説明していいかわからないの。とにかく、私は絶対に、絶対に……何も知らなかった側だから」絵里は彼女を見下ろす。「じゃあ単刀直入に聞くけど、二人はそういう関係になったの?」逃げられないと悟っていた梨乃は、がっくりと肩を落とす。「たぶん







